研究課題/領域番号 |
06671586
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
筧 善行 京都大学, 医学研究科, 講師 (20214273)
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研究分担者 |
水谷 陽一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 助手 (90260611)
寺地 敏郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (50207487)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 尿路上皮癌 / 尿中剥離細胞 / 尿路腔内播種 / p53 / 分子診断法 / 尿路上皮腫瘍 / 腔内播種 / 短期培養 / p53免疫細胞染色 |
研究概要 |
初年度に、自然排尿された尿中の剥離細胞からの培養系の確立に成功し、尿路腫瘍患者尿では健常人尿より高い培養成功率が得られることが判明した。次に、腫瘍細胞側の病理学的悪性度、腫瘍の尿路腔内の位置、p53癌抑制遺伝子の変異の有無などのパラメーターと初期培養・一回継代成功率との関係の解析を進めた。この過程で得られた知見の中で特筆すべきは、腎盂癌や尿管癌といった上部尿路腫瘍患者の尿中剥離細胞は腫瘍の悪性度に関わらず初期培養成功率、一回継代成功率がともに100%で、下部尿路腫瘍である膀胱癌での各々87.5%、65%より有意に高かったことである。これらの結果は上部尿路腫瘍は腫瘍細胞の尿路腔内の「播種」に関して高いポテンシャルを有することを示唆しており、臨床的にも上部尿路腫瘍の下部尿路や対側上部尿路への高い再発率とよく合致し興味深いと思われた。一回継代後、主として免疫組織化学的診断への応用を検討したが、十分診断に耐える標本が高率に得られることが判明した。この過程でp53癌抑制遺伝子の変異を有する尿路上皮腫瘍患者では変異のない患者尿より有意に高い初期培養・一回継代成功率が得られることが判明したが、培養剥離細胞のp53染色と腫瘍でのp53染色の結果は92.5%という高い一致率であった。 この系の遺伝子診断への応用の可能性を検討すること、短期培養細胞中に腫瘍細胞の占める比率を定量的に解析する目的のため、p53遺伝子変異陽性腫瘍患者の変異に特異的なプライマーを作成し、変異塩基特異的遺伝子断片の増幅により、剥離細胞中に含まれる腫瘍細胞の検出を試みた。この方法は塩基配列の違いなどによりPCR条件の設定の確立に困難な面があったが、現在までにほぼ予備実験が終了し4症例で変異細胞の検出に成功している。以上、本研究では尿路上皮腫瘍患者の尿中剥離細胞のin vitroでの旺盛な増殖能が確認され、この培養系での増殖能が尿路上皮腫瘍細胞の尿路腔内播種能をある程度反映する事が示された。今後、診断面での臨床応用を進めるとともに、尿中増殖因子の影響を増殖過程での細胞間コミュニケーションがどのように行われるかなど基礎的な側面についても研究を発展させる予定である。
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