研究課題/領域番号 |
06671617
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
梅田 隆 帝京大学, 医学部, 教授 (50107504)
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研究分担者 |
押尾 茂 帝京大学, 医学部, 講師 (20192528)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Sperm motility / Linear motility / Sperm velocity / Sperm viability / CASA / BHC / Chrolopyrifos / Capacitation / 精子 / 精子運動率 / chrolopyrifos |
研究概要 |
近年、精子濃度が過去50年間に半減したという報告があり、その原因としては各種の化学物質摂取量の増加が推定されている。本研究では科学物質が精子機能に及ぼす影響を検討するために、まず、有機リン系農薬に着目しそれらの精子運動能に及ぼす影響を検討した。検討した農薬は使用中止後20年を経た現在でも人体への蓄積が報告されているベンゼンヘキサクロイド(BHC)の中でも最も毒性の高いγ-BHC(B)と、現在主として白蟻駆除薬や果実の害虫駆除薬として使用されているクロロピリフォス(C)の二種類である。健康なボランテイアより得た精液を、パーコール法を用いて洗浄精子を作製した。この洗浄精子に最終濃度1〜1,000μg(BHC:3.44mM〜3.44μM、C:2.85mM〜2.85μM)なるように薬物を添加し、全自動精子運動解析装置を用いて、精子運動率、直進運動率、平均運動速度を測定した。同時に精子生存率をエオジン法にて算定した。Bは1mM以上、Cは0.3mM以上で精子運動率を有意に低下させ、精子運動率の低下には直進運動率、平均運動速度の低下が同時に観察された。なお、精子生存率はともに最高濃度のときのみ有意に低下した。このように、B、Cはともに高濃度では精子の運動性あるいは生存性を低下させた。今回検討した化学物質は0.3〜1mM以上という比較的高濃度で精子運動性を抑制したが、精子運動性と受精能力は必ずしもパラレルのものではなく、今後精子受精能との関連について検討を加えると同時に精漿中の農薬を含めた各種化学物質の定量が必要であると考えられた。なお、基礎的研究の一環として精子運動性および受精能獲得に及ぼすカルシウムイオンの影響についても検討を行い、運動性の維持にはカルシウムが必要であるが、受精能獲得にはカルシウムイオンは必要なもののその必要濃度は低く、現在の観察技術で細胞内濃度の変化の測定できるような濃度のカルシウムイオン(μM)は必要ではない可能性が示唆される結果を得た。
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