研究概要 |
1.子宮頚癌におけるHPV18遺伝子構造 HPV18陽性の子宮頚癌は,他のHPV陽性の子宮頚癌に比べ,予后が悪いといわれている。しかし,その理由は細胞変換能の差だけでは説明できない。サザンブロット解析でもHPV18陽性検体だけは典型的なパターンを示さないことが少なくない。またHPV16陽性検体が遊離型HPV16を有しているのに対し,HPV18陽性検体のほとんどは遊離型HPVを有していない。今回HPV18陽性検体とHPV16陽性検体でそれぞれのE1およびE2領域のPCRプライマーを設定したところ,HPV16陽性の30検体では両者とも全検体で増幅されたが,HPV18陽性の9検体中3検体ではいずれかのPCRが陰性であった。そこでHPV18ゲノム全体を15のPCRsで増幅できる系を用いて,HPV18陽性の子宮頚癌9検体でHPV18の遺伝子構造を検討した。その結果3検体ではE1/E2領域に欠損を有し,1検体ではE5/L2領域に欠損を有し1検体ではLCRに挿入が認められ,高率に遺伝子変異があることが判明した。HPV18陽性子宮頚癌の予后が悪いのは,HPV18DNAの遺伝子機能以外にこのような遺伝子変異も関与している可能性がある。 2.外陰癌におけるHPVの検出 子宮頚癌と疫学的に類似している外陰癌11検体中8検体でHPV陽性であった。26の型以上が検出可能なL1-PCRを用いて検索したところ,従来から報告されているHPV6(1検体),HPV16(4検体),HPV18(1検体)以外にHPV51(1検体),HPV56(1検体)が検出された。一方前癌病変であるVINIII6検体ではHPV16(4検体)HPV18(2検体)のみが検体された。
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