研究分担者 |
竹内 茂人 三重大学, 医学部, 助手 (00273368)
箕浦 博之 三重大学, 医学部, 助手 (70242964)
豊田 長康 三重大学, 医学部, 教授 (40126983)
奥川 利治 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (90262998)
田畑 務 三重大学, 医学部, 助手 (40252358)
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研究概要 |
子宮内膜間質細胞は,着床が成立する過程で非常に活発な内分泌細胞である脱落膜細胞へと分化する.脱落膜細胞分化に関する研究は分化マーカーである侏儒の遺伝子群に関する研究が大半であり分化の上流域に位置する転写因子群に関する研究はほぼ皆無である.我々は,様々な細胞分化系に関与するPOUドメイン遺伝子群と胎生期子宮の発生に関与するWT-1遺伝子に視点を当てその脱落膜化細胞分化への関与を検討した. ヒト脱落膜より調製した総RNAより、POUドメイン遺伝子群によく保存された配列をもとに混合プライマーを用いてRT-PCR法により関連配列の増幅を試みたところ、Oct-3B遺伝子の発現が認められ、さらに脱落膜化に伴いその発現が増加することが明らかにされた。脱落膜を構成する諸細胞を不連続パーコール法により種々の細胞分画に分離しOct-3B遺伝子の発現の発現を検討したところその発現は脱落膜細胞分画に集中していた。ヒト子宮内膜間質細胞の初代培養を用いた、in vtro脱落膜化においても同遺伝子の発現増加を認め、分化マーカーであるプロラクチンのそれに先行していた。同様の系を用いてOct-3B遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチドによる発現抑制を行ったところプロラクチン分泌の抑制が認められた。 WT-1遺伝子に関してはマウス及びヒトにおいて検討を行った.ICR系雌マウスと同系雄マウスと交配し着床前後期における発現動態を検討したところ、脱落膜化反応と時間的に一致時期に発現増加を認めた.また,偽妊娠マウスでは同様の変化は認められなっかった.偽妊娠4日目の雌マウスの偏側子宮にオイルを注入すると脱落膜反応が惹起されるが,オイル注入側子宮においてのみWT-1遺伝子の発現を認めた.さらに,免疫組織学的検討では脱落膜細胞核に陽性シグナルを認めた.ヒトでは,月経周期及び妊娠初期子宮内膜におけるWT-1遺伝子の発現を検討したところ,黄体後期及び妊娠初期子宮内膜に発現の増加を認めた.また,ヒト子宮内膜間質細胞の初代培養を用いた、in vtro脱落膜化においても同遺伝子の発現増加を認めた.現在,アンチセンスオリゴヌクレオチドによる発現抑制を試みその生理学的な意義を検討中である. 以上の研究成果を関連領域の検討結果と併せて報告する.
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