研究課題/領域番号 |
06671665
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小林 裕明 九州大学, 医学部, 助手 (70260700)
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研究分担者 |
岡留 雅夫 九州大学, 医学部, 助手 (30260699)
斉藤 俊章 (斎藤 俊章) 九州大学, 医学部, 講師 (80162212)
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 助教授 (30152870)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 卵巣癌 / インターロイキン6 / アンチセンスオリゴヌクレオチド / 自己増殖因子 |
研究概要 |
卵巣癌とサイトカインの関わりについて検討するため、本研究では特にInterleukin-6 (IL-6)に着目した。現有する11株のヒト卵巣癌細胞株を用いて培養上清中へのIL-6産生をELISA法により検討した所、非上皮性卵巣癌株1株を除く上皮性卵巣癌株10株の全てに測定感度以上のIL-6が検出され、これらは全て生物活性を有することがB9細胞を用いたBioassay法により確認された。IL-6産生株の細胞増殖はリコンビナントIL-6投与で促進されず、かつIL-6に対する中和抗体投与で抑制されないのに対し、IL-6に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)投与により全例、特異的に抑制された。この際投与したASがIL-6産生を特異的に抑制していることはELISA法で確認できた。ASが引き起こす増殖抑制はリコンビナントIL-6を投与しても解除されなかったのに対し、センスオリゴヌクレオチドを投与した場合には投与濃度依存性に細胞増殖が開腹した。細胞外のIL-6のシグナルはIL-6レセプターとgp130の共役作用により細胞内へと伝えられるので、各卵巣癌株におけるこれらIL-6関連レセプターの発現状態をRT-PCR法を用いて検討した所、gp130は検討した10株全ての卵巣癌株で発現していた。他方、IL-6レセプターはIL-6産生株9株中、4株でのみ発現を認めた。残るIL-6非産生株5株はIL-6非産生株の1株同様、シグナルトランスデューサーであるgp130は存在するもののIL-6レセプターを発現しておらず、細胞外IL-6からのシグナルを細胞内に伝える手段を有していない細胞株群と考えられた。 以上の結果に示した如く卵巣癌は高頻度にIL-6を産生するが、卵巣癌細胞が一旦細胞外に放出したIL-6はそのシグナル伝達系を有する細胞においてでさえも、もはや自己の増殖には関与せず、むしろ細胞内でのIL-6産生ないしは産生機構自体が自己の細胞増殖に促進的に働いている可能性が示唆された。今後はその機序について明らかするとともに、卵巣癌による産生が既に報告されている他のサイトカインについても卵巣癌との関連について解析して行きたい。
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