研究概要 |
アラキドン酸からプロスタグランジン合成については,従来より知られていたシクロオキシゲナーゼ(COX-1)に加え,近年,新しいシクロオキシゲナーゼ(COX-2)の存在が報告されている。COX-2は血管内皮細胞やマクロファージでホルボルエステルやサイトカインにより誘導され,炎症の際にプロスタグランジンの産生が増加することが証明されている。プロスタグランジンは胎盤でも産生され,子宮収縮に関与するという研究が進められてきたが,我々は,羊膜細胞においてCOX-2が発現し,さらにどの様な物質で発現が調節されているかについて検討した。 羊膜由来細胞であるWISH cellsを用い,単層培養を行った。プロテインキナーゼCを介してのCOX-2mRNAの発現の有無を検討するため,ホルボルエステル(PMA)にて1時間から24時間にかけて刺激を行った。その結果,刺激後1時間から2時間の間に最も発現が増強した,さらに副腎ステロイドホルモン(コルチゾール)を同時に添加したところ2時間後および4時間後のCOX-2mRNAの発現が抑制され,COX-2はコルチゾールにより発現が抑制されることが証明できた。さらにCOX-2の誘導によりプロスタグランジンE_2産生も増加した。 羊膜細胞では,COX-2はプロテインキナーゼCを介して発現し,分娩発来に関与する可能性が示唆された。
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