研究課題/領域番号 |
06671724
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
黒野 祐一 大分医科大学, 医学部, 講師 (80153427)
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研究分担者 |
重見 英男 大分医科大学, 医学部, 助手 (50271135)
茂木 五郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (20035190)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | インフルエンザ菌 / 粘膜免疫 / 上気道感染症 / 中耳炎 / 鼻咽腔 / 細菌定着 / 外膜蛋白 / 経口ワクチン |
研究概要 |
1)分子生物学的手法によるインフルエンザ菌の検出:滲出性中耳炎患者から採取された中耳貯留液をPCR法を用いて検索したところ、従来の細菌学的手法でインフルエンザ菌が検出されなかった検体からもかなり高頻度でP6-DNAが証明された。また、咽頭扁桃組織からも高率に本菌が検出された。したがって、インフルエンザ菌を起炎菌とする中耳炎は従来の報告以上に頻度が高いと考えられ、同時にその予防の重要性が示唆された。 鼻咽腔および咽頭扁桃における粘膜免疫応答:ヒト鼻咽腔液中分泌型IgAのインフルエンザ菌に対する特異抗体活性を測定したところ、抗体活性が高くなると菌が検出されなくなることが示された。また、咽頭扁桃からリンパ球を分離しインフルエンザ菌外膜蛋白に特異的な免疫グロブリン産生細胞数を観察すると、IgAおよびIgG産生細胞数と菌数は逆相関した。さらに、その細胞数は鼻咽腔液の抗体活性と正相関することが証明された。すなわち、鼻咽腔インフルエンザ菌の定着は分泌型IgAにより阻止され、咽頭扁桃がその粘膜免疫応答を制御していることが明らかとなった。 3)インフルエンザ菌経口免疫による感染予防:マウスにインフルエンザ死菌あるいは外膜蛋白をアジュバントとともに経口投与すると、血清のみならず唾液や鼻咽腔液など外分泌液中のIgA抗体価の上昇がみられた。また、腸管粘膜固有層および鼻腔粘膜からリンパ球を分離し抗原特異的免疫グロブリン産生細胞数を測定してみると、両者のIgA産生細胞数が有意に増加することが分かった。さらにこれらマウスの鼻咽腔へインフルエンザ生菌を注入したところ、経口免疫群では対照群と比較してより速やかに細菌が排除された。これらの結果から、インフルエンザ菌経口ワクチンにより本菌を上気道から排除し中耳炎や副鼻腔炎など様々な感染症を予防しうること、すなわちインフルエンザ菌上気道感染症に対する粘膜免疫療法の有効性が示唆された。
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