研究課題/領域番号 |
06671736
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
青木 和博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (10130139)
|
研究分担者 |
江崎 史朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40147286)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
|
キーワード | 中耳含気腔圧 / 滲出性中耳炎 / 中耳含気腔容積 / 蜂巣発育度 / 中耳粘膜病変度 / 乳突蜂巣抑制度 / 含気腔ガス産生能 / 中耳含気腔酸素分圧 |
研究概要 |
慢性中耳炎症病態の難治化因子について、小児滲出性中耳炎例を中心として中耳含気腔内の粘膜上皮の形態的、機能的変化から検討を加えた。過去の臨床的観察より小児滲出性中耳炎例に対し鼓膜チューブ留置治療を行った場合、チューブの留置期間が1年未満の症例では再発が36%と高率に観察されている。このような臨床的結果を踏まえて、再発因子について検討を加えた。検討項目としては鼓膜チューブ留置後の症例を対象に、初診時のレ線上での蜂巣発育度、チューブ留置後の中耳含気腔容積、中耳含気腔圧や酸素濃度がどのように変化するか、また中耳粘膜の組織学的変化がその後の含気腔圧変化にどのような影響を与えているかについて検討を加えた。 結果:小児滲出性中耳炎例36例38耳を対象に、保護者の承諾を得た上でチューブ留置後一週間から18ヶ月の時点で中耳含気腔圧のピーク圧および中耳含気腔容積について検討した。また粘膜病変については17耳で組織学的検討が可能であった。初診時のレ線上の蜂巣発育面積とチューブ留置後の経時的な含気腔容積の計測から、含気腔内の粘膜腫脹はチューブ留置後2〜3ヶ月で消失しレ線上の面積に一致した容積の拡大を呈していたが、この時点で含気腔圧は最も低い値を呈していた。その後含気腔圧は徐々に上昇傾向を呈するが、その回復には1年半以上の長期間を要することが明らかとなり、この含気腔圧の上昇傾向は初診時の中耳粘膜の組織学的所見と明らかに相関していた。すなわち、軽度粘膜病変例ではチューブ留置後18ヶ月の経過で含気腔圧の上昇傾向は十分に回復していたが、高度粘膜病変例では1年半を経過しても上昇傾向が観察されなかった。このように中耳含気腔圧は中耳粘膜の生理機能を反映した重要な所見であり、炎症性変化によりその機能が障害されることから、その計測により現在の中耳含気腔内の炎症上体を探る重要な指標となり得る。
|