研究概要 |
外眼筋の切腱による前眼部の虚血現象を微小血管構築の変化で捉えるという試みはこれまでなされておらず,この研究では家兎を対象に外眼筋切腱眼と長後毛様動脈の閉塞眼の2種類の手術モデルを作成し,mcthylmcthacrylateを用いて血管樹脂鋳型標本を作成して微小血管構築の変化を観察することによりこれらの手術操作の前眼部虚血に与える影響を検討した.外眼筋切断眼の術後1週の鋳型標本では前眼部の虚血現象を確認することはできなかた.しかし筋切断眼の術後2週の鋳型標本では,前眼部の虚血が原因と思われる新生血管の発生を虹彩に確認した.同じ手術モデルの術後7週の鋳型標本では輪部周囲の血管網から角膜の中心に向かう著しい新生血管を確認した.一方,長後毛様動脈の閉塞眼では,術後2週の鋳型標本で虹彩,前房隅角,角膜における新生血管の発生を確認した. これらの結果は,家兎の切腱は長後毛様動脈の閉塞と類似の微小血管構築の変化,つまり前眼部の虚血をきたすことを意味しており,これまで報告されてきた以上に家兎の前毛様血管は前眼部の血液の供給に関係しており,前毛様血管と長後毛様血管の間に強い連絡のあることが推察される.
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