研究課題/領域番号 |
06671780
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
小林 龍彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90186750)
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研究分担者 |
松澤 健夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30084502)
笠原 正男 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70084506)
小川 久光 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (80101658)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | オルニチンアミノ基転移酵素 / 脳回転状網脈絡膜萎縮症 / ミトコンドリア輸送 / サイトゾル因子 / 他段階プロセシング / 多段階プロセシング / シグナル配列 / 成熟配列 / ミトコンドリアタンパク質前駆体輸送 |
研究概要 |
ミトコンドリアマトリックスに存在するオルニチンアミノ基転移酵素(OAT)の先天的欠損によって引き起こされる脳回転状網脈絡膜萎縮症(GACR)患者におけるOAT活性低下の本態に関する生化学的、分子生物学的研究を行い、以下の結果を得た。 1.リンパ球のOAT活性は健常者の3.5%であった。また骨格筋の免疫組織染色によってもOATタンパクは見出されなかった。 2.リンパ球mRNAより合成したOATcDNAの翻訳領域にCからGへの点変異が明らかになり、これよりGln90のGluへの置換(Q90E)が推定された。また患者家族OAT遺伝子の解析によりこの変異は患者および同様の症状をもつ同胞(兄)においてホモ接合体であった。 3.CHO細胞で一過性に発現したQ90EOATはウエスタンブロットによって検出されなかった。 4.バキュロウイルス系で多量に発現したQ90EOATは前駆体のままサイトゾルに蓄積していることがウエスタンブロット、免疫電顕によって明らかになった。またwild type OATの発現では前駆体の他に中間体および成熟体が検出され、各々のN末端はVal18、Thr26であった。したがって前駆体OATはミトコンドリアにおいてVal18で切断された後、Thr26で切断されて成熟体に転換されると考えられた(多段階プロセシング)。 5.Gln90は異種(ラット、酵母、植物)OATにおいても良く保存されていた。 6.人工変異導入によるAsn89、Gln90、Gly91の解析では極性(酸性、塩基性)アミノ酸への置換を有する変異体はバキュロウイルス系においてQ90Eと同様、前駆体のままサイトゾルに蓄積した。 以上の結果より本患者におけるOAT活性低下の原因はOAT遺伝子翻訳領域の変異(Q90E)による前駆体のミトコンドリアへの輸送障害であり、サイトゾルに蓄積した前駆体は変異タンパク質分解系によって積極的に分解されている可能性が示唆された。前駆体のミトコンドリア膜認識機構にはシグナル配列の他にHsp70などサイトゾル因子の関与も明らかにされている。これらの因子と前駆体との相互作用においてGln90周辺は重要な役割を果しているのかもしれない。
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