研究概要 |
当研究組織により遺伝子が単離された7種類の新規受容体型セリン/スレオニンキナーゼ(ALKs)は、その構造的類似性から、すべてTGF-βスーパーファミリーをligandに持つと推察されたが、TGF-βtypel受容体であることが確認されたALK-5遺伝子を除き、他のALKsについては、未だligandの同定には至っていなかった。受容体以降のシグナル伝達経路の解明には、まずligandの同定が必須であるため、本研究において、われわれは、TGF-βスーパーファミリーに属する数種類の候補ligandを用い、ALKsとの結合能の解析を行った。即ち、それぞれのALKsにつき、transient expession vectorを作製し、COS細胞に一過性に発現させ、chloramine-T法によりヨード標識したTGF-βスーパーファミリーligand(^<125>I-TGF-β1,^<125>I-activin,^<125>I-inhibin,^<125>I-BMP-4,^<125>I-OP-1)との結合能を親和性架橋結合法にて解析した。その結果、ALK-5がTGF-βと、ALK-2ならびにALK-4がactivinと、さらにALK-2、ALK-3ならびにALK-6がBMPとそれぞれ特異的に結合することが判明し、ALKsがTGF-βスーパーファミリーに対する一群の受容体ファミリーを形成していることが明らかにされた。さらに、TGF-βのI型受容体を欠失した細胞にALK-5を導入することにより、TGF-βのシグナル伝達が回復することを確認し、機能面からもこれらALKsが受容体として働いていることが明示された。
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