研究概要 |
Caイオンチャネルの阻害剤(Ca-阻害剤)4種類(CdCl_2,ベラパミル,ニフェジピン,ジルチアゼム)と各種の分泌刺激薬5群(A,コリン性;B,ペプチド性;C,α-アドレナリン性;D,β-アドレナリン性;E,バイオアミン性)の受容体刺激薬15種類を各種の投与量にて併用投与に用い、分泌唾液量およびタンパク質の分泌動態を検索した。用いた動物はSD系雄性ラツト(12-16週齢)で,顎下腺唾液をカニュレーション法にて1h採取し,タンパク成分はIEFおよび二次元電気泳動法で検索した。いずれのCa一阻害剤もアゴニストの組み合わせ方により阻害効果と促進効果の両作用を示した。これらの反応は非常に複雑で,一元的でなく阻害剤ごとに効果が異なつた。その中で,いずれの阻害剤によつても比較的共通の反応を示した組み合わせも見られた。すなわち、PlP_2系の細胞内情報伝達系に働くアゴニストや神経終末部よりノルアドレナリンを放出させる間接的刺激薬(チラミンなど)には抑制作用が顕著であつた。しかし,逆にバイオアミン(フェニレフリン、ノルアドレナリン,アドレナリン、6-および5-ヒドロキシドーパミンなど)に対しては促進作用が顕著であつた。このことから、Ca-阻害剤の投与はアドレナリン性α-およびβ-受容体を刺激するバイオアミンに対して、β-効果を抑制し、α-効果を増強させた。この理由を明らかにするために、神経終末部のノルアドレナリンを枯渇させるレセルビンとCa-阻害剤の作用を比較検討した。そしてレセルビンほどではないが、Ca-阻害剤(CdCl_2)は交感神経終末部よりノルアドレナリンを放出させるのではないかと考えられる効果を得た。このことを明らかにするために、唾液腺内のカテコラミン量の変動状態を測定する計画を進めている。また,in vitro実験(dispersed cells)を行い、神経終末部の電子顕微鏡観察を進めている。さらに、Ca-阻害剤はCaの分泌を顕著に抑制することが明らかになつたのでこれらの機構も明らかにしつつある。細胞内のCa量の測定や各種の細胞内情報伝達系阻害剤を用いてこれらの機序の解明を進めている。タンパク成分の方も二次元電気泳動法により興味ある結果を得ている。これらの成分の分析も進めている状態である
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