研究分担者 |
嶋田 順子 徳島大学, 歯学部, 教務員 (10170945)
大和 香奈子 徳島大学, 歯学部, 助手 (40243711)
一宮 斉子 徳島大学, 歯学部, 助手 (30223845)
林 祐行 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80243707)
中村 亮 徳島大学, 歯学部, 教授 (30034169)
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研究概要 |
P.gingivalisの培養上清中に3種類のトリプシン様酵素(Pase-B,C,S)が存在したので,これらの酵素の精製を行い,性質を明らかにした.Pase-BとPase-Sは基質特異性に関して類似点が多く,阻害剤の傾向も同じで,チオール依存性プロテアーゼであった.Pase-Cは上述酵素の示す活性の他にBL_pNAとタイプIコラーゲンの分解活性を示し,赤血球凝集活性も有していた.Pase-Sに対する抗体を用いて,3種の酵素の反応性をみたところ,Pase-Cは反応しなかったが,Pase-Bは反応した.Pase-SはN末端アミノ酸配列を解析した結果,Pase-Bと共通配列を認めたため,Pase-Bのアイソザイムとしての可能性が示唆された. B.forsythus,T.denticolaの大量培養の方法を確立し,B.forsythusの産生するトリプシン様酵素のついては,部分精製まで行い,性質を検討した.この酵素はジチオスレイトール(DTT)及びSH基ブロッカーの影響はなかったが,TLCK,アンチパイン,ロイペプシンに阻害された.基質特異性に関して,BA_pNAよりもBL_pNAの方が親和性が高いことが明らかとなった.またインスリンB鎖と反応させるとペプチド鎖内部のアルギニンをカルボキシル基側で切断したことから,エンドペプチダーゼであると考えられた. P.gingivalisとB.forsythusの酵素の性質を比較すると,TLCK,アンチパイン,ロイペプシンで阻害を受けること,血中プロテアーゼインヒビターでは阻害されないことは共通した性質であるが,B.forsythus由来の酵素の場合,DTT非依存性で,ペプチダーゼであり,P.gingivalis由来の酵素は,DTT依存性のプロテアーゼであることが大きく異なる点である.B.forsythus由来の酵素は,基質特異性では,ペプチドのカルボキシル基側のアルギニンよりはリジンの方をよく分解するという点が特徴的である.
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