歯周病関連菌由来の免疫抑制因子に対する宿主免疫担当細胞側の受容体をin vitroで検索するに先がけてCampylobactor rectus、Prevotella loescheii、Porphyromonas gingivalisの可溶分画から免疫抑制因子の精製をHPLC-DEAEイオン交換クロマトグラフィー法およびゲルろ過法にて手がけた。宿主免疫担当細胞としてヒトリンパ球由来の培養株細胞を用い、この細胞への^3H-チミジン取り込み能の抑制を指標として溶出分画の免疫抑制活性を求めた。溶出分画はヒトのB細胞由来株細胞(BALL-1)、T細胞由来株細胞(Jurkat)および単球由来株細胞(U937)の^3H-チミジン取り込み能を供与量依存的に抑制した。ホルボールエステルにてマクロファージに分化させたU937にこのタンパク質を作用させると、この細胞からの培養液へのインターロイキン-1の分泌が抑制された。さらに、Jurkat細胞からのインターロイキン-2の分泌も抑制を受けた。ついで、免疫抑制因子を作用させた免疫担当細胞からmRNAを調整し、cDNAを合成することを試みた。しかし、cDNAライブラリーのスクリーニングを行うにあたり、精製標品の純度が問題になってきた。すなわち、因子タンパク質を精製する過程で細菌培養用培地中に含有するタンパク質成分と因子タンパク質との凝集を生じているとの疑問を持つようになった。したがって、精製タンパク質からアミノ酸配列を決定し、当初の計画のごとく、アミノ酸配列から対応するオリゴヌクレオチドプローブを作製することは困難となった。そこで、Actinobacillus actinomycetemcomitansのLeukotoxin遺伝子の塩基配列からオリゴヌクレオチドプローブをPCR法にて作製し、このプローブを用いてλgt10ファージライブラリーをスクリーニングする方法に転じ、検討中である。
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