研究概要 |
二相性リン酸カルシウム(BCP)顆粒が,歯周組織の再生にどのような役割を果たすか,また従来の歯周組織再生法と比較した場合の有効性はどうか,さらに,近年注目されている骨誘導因子(BMP)の担体としての可能性はどうかなどについて,サルおよびラットを用いて組織学的に検討した.サル-壁性骨失損に,BCP顆粒充填と従来の歯周組織再生法の代表であるGuided Tissue Regeneration(GTR)法の併用およびGTR法のみの2処置について,術後,3ヶ月ならびに6カ月後の非脱灰組織標本を作製し,組織学的観察を行った.さらに,BCPとリコンビナントヒトBMP-2の複合体を作製し,ラット背部皮下に埋植し3週後の異所性骨形成について検討した. BCP顆粒充填とGTR法を併用した場合,GTR法単独の場合よりも,術後3ヶ月では新生骨および新生セメント質形成量は少ないことが観察された。しかし,BCP顆粒残存域を含めるとそれほど差異は認められなかった。しかし,BCP顆粒と新生骨との親和性は高く,吸収され残ったBCP顆粒の結晶が新生骨の基質として取り込まれている像も多く観察された.術後6カ月では,顆粒の残存量が少ないこと以外は3カ月とほぼ同様な結果であった. ラット異所性骨形成の実験では,50μg群では,顆粒内腔に一致した球状の小さな骨様組織の集団と顆粒間にはそれに連続した層板構造を有する新生骨組織が観察された.さらに,10μg群では,2μg群および0μg群と,用量依存性に骨様組織の形成は減り,2μg群および0μg群である新生骨は観察されなかった。 歯周組織再生法への応用を考えた場合,BCP顆粒単独あるいはGTR法との併用のみでなく,BMPなどの成長因子と組合せることも,今後の検討課題であると思われる.
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