研究分担者 |
小松 孝雪 (小松 考雪) 北海道大学, 歯学部, 助手 (90271668)
上田 康夫 北海道大学, 歯学部, 助手 (30241342)
箕輪 和行 北海道大学, 歯学部, 助手 (30209845)
井上 農夫男 北海道大学, 歯学部附属病院, 助教授 (20091415)
戸塚 靖則 北海道大学, 歯学部, 教授 (00109456)
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研究概要 |
1.実験的疲労前後の咬筋の表面電極による筋電図周波数分析と^<31>P-MRS(magnetic resonance spectroscopy)検査の時間的変動を比較したところ,筋疲労時において,^<31>P-MRS検査では筋組織内のクレアチンリン酸の減少,無機リンの増加,筋電図周波数分析では平均パワー周波数の低減シフトが起こり,その後,疲労の回復に伴い徐々に安静時の値に戻ることが認められた.これらの経時的変化のパターンが両検査でほぼ同様であったことから,筋電図周波数分析法は,^<31>P-MRS同様,筋の疲労状態を診断するのに有効な診査法と思われた. 2.筋電図咀嚼リズムのCV値は,咬筋に疼痛や過緊張などの筋症状を有する顎関節症患者群が正常者群よりも大きい傾向を示した.しかし,個々のデータを比較すると患者の値と正常者の値が逆転している例がいくつもみられ,CV値の結果と^<31>P-MRS検査結果との一致率は低く,患者特異性に乏しかった. 3.咀嚼運動時の筋電図におけるinterval(筋放電間隔)/cycle time(咀嚼周期)を分析したところ,患者群の方がcycle timeの中でのintervalが占める割合が高くなる傾向を示した.また,個々の値でみても,MRSによる分析結果との関連性はCV値よりも高い傾向を示した. 4.治療前後を比較した1例では,治療による筋症状の改善に伴い,MRSデータは正常値近くまで回復したのに対し,筋電図のinterval/cycle timeは術前後で大きな変化を示さなかった.しかし,波形を比較すると,術前はburstの立上りと終止部分が正常者のように明瞭でなく,この部位に起因するdurationの延長が推測されたのに対し,術後は波形が改善されていた.そのため,筋電図咀嚼リズム分析を行う際には筋放電波形の異常パターンの有無も考慮する必要があるものと思われた.
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