研究課題/領域番号 |
06671974
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
平林 茂 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30121130)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 抗齲蝕性 / 再石灰化 / 歯質前処理剤 / プライマー / フィチン酸 / フッ化第1錫 / フッ化錫 |
研究概要 |
本プライマーは、歯科用接着材の歯質接着のための前処理剤として当教室で開発された。これは、2段階の処理を必要とする。先ず、7%フィチン酸(PYA)水溶液で歯面を処理、水洗、乾燥後、次いで、3%フッ化第1錫(SnF_2)水溶液で処理する。以下、このプライマーを7PYA-SnF_2プライマーと略記する。第2段階で使用したSnF_2は抗齲蝕性材料として認知されており、処理歯質の抗齲蝕性が期待される。そこで、本研究では、その処理エナメル質の再石灰化過程に及ぼすSnF_2の影響を調べるため、歯科で一般的に使用されている他の酸処理と比較検討した。 比較検討した前処理剤は、10%および40%リン酸水溶液、10%クエン酸と3%塩化第2鉄を含有する水溶液、および7PYA+SnF_2プライマーのコントロールとしての7%PYA水溶液である。各処理剤で処理したエナメル質をten Cateら処方の再石灰化溶液中に浸漬し、その再石灰化過程をヌープ硬さとSEM観察を指標に7日間追跡した。その結果、7PYA+SnF_2処理を除いた他の処理では、処理直後に健全エナメル質に対して約25〜40%に低下した硬さが、1日後には60〜70%までに回復することが判明した。しかし、その後の変化はわずかであった。そして、SEM観察から、一日浸漬後のエナメル質表面にはヒドロキシアパタイト様の結晶の生成が認められ、処理エナメル質の再石灰化が急速に起こっていることが示唆された。一方、7PYA+SnF_2処理では、7日後も約30〜40%までしか回復しなかった。しかし、SEM観察から、その処理エナメル質表面には、他の処理では観察されない0.05-N塩酸によっても脱灰されにくい約5μmの耐酸性の層が観察され、それは処理直後のエナメル質表層にも認められた。これらの結果から、この耐酸性の層がアパタイトの生成、沈着を抑制していること、さらに、この処理は抗齲蝕性効果を有することが示唆された。
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