研究概要 |
Streptococccus sobrinusのグルコシルトランスフェラーゼ-U遺伝子(gtfU)をクローニングするため,SL-1株から染色体DNAを抽出した。これをPstIで切断し,切断片をpUC19ベクターに結合させ,E.coliJM109を形質転換した。シュクロース分解活性を持つ1株を選択し,プラスミドの制限酵素地図を作製し,インサートのDNA塩基配列を1部決定した。その結果:(1)クローニングした遺伝子はgtfIと90%以上のホモロジーを示した。(2)遺伝子の5'から約2/3の位置にあるAclI部位にインサーションエレメントと思われる約0.8Kbフラグメントが存在していた(ACLR)。検索の結果,C-ストランドの768bp(Fig.1)がISlグループに属するISlR(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1989 Sekine&Ohtsubo)と塩基が7個,アミノ酸が5個異なるだけの高ホモロジー有することが分かった。しかし,5'と3'両端に接するdirect repeat(DR)sequenceは異なっていた(Fig.2)。また-1frameshift(Fig.3)によって生じる InsA-B'-InsB融合タンパクはInsA95-リジンの後にB'11-リジンがつながることが推測された(Fig.4)。 今後,(1)クローニングした遺伝子の残りのDNA塩基配列を決定する(2)インサーションエレメントACLRの口腔内細菌における分布について調べる,など2点について研究を進めていきたい。
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