研究概要 |
目的:歯科診療室において粒度別粉塵濃度と気菌(空中菌)濃度ならびに気候環境因子の測定を行い、粉塵の粒度分布について把握するとともに、気菌濃度ならびに気候環境因子との関連性について検討した。 方法: 1994年4月より2年間にわたり、大学附属病院内の中規模診療室(小児歯科,矯正歯科)ならびに大規模診療室(補綴科,保存料)において各月4日、1日3回、3カ所の測定点(高さ1m)で測定を行った。測定項目は、粒度別粉塵濃度、気菌濃度(SY式pin hole sampler法と落下法の併用)ならびに気候環境因子(気温,気湿,気流、在室人員、開放窓数、エアコン稼働吹出口数)とした。また、粉塵濃度と各因子との相関分析も行った。 結果ならびに考察: 1.粒度別粉塵濃度の月平均値は、0.3〜0.5μmは99462〜292484count/l、0.5〜1.0μmは14401〜73510count/l、1〜2μmは592〜3493count/l、2〜5μmは108〜588count/l、5.0μm以上は32〜142count/lでありいずれの粒度も春秋期に高く、夏冬期に低い傾向が認められた。 2.気菌濃度の月平均値はSY法では0.07〜0.42CFU/l,落下法では0.69〜3.14CFUであった。また気菌濃度と粉塵濃度の増減は類似した傾向を示し、特にSY法では1.0〜2.0μm、落下法では5.0μm以上の粒度の粉塵濃度と高い相関関係が認められた。 3.気候環境因子の月平均値は、気温20.9〜27.4℃、気湿31.1〜55.3%、気流0.13〜0.33m/sec、在室人員8.5〜46.5人、開放窓数0.0〜6.3、エアコン稼働吹出口数0.0〜15.0であった。またエアコン稼働因子は他の因子と比較して粉塵濃度に及ぼす影響が大きく、特に0.5〜5.0μmの粒度の粉塵濃度と高い負の相関関係が認められた。 以上の結果より、年間を通じたエアコン稼働の必要性が示唆された。
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