| 研究概要 |
天然資源からの創薬リ-ド化合物の探索研究を進めた結果,数種類の生活性物質を単離し,構造を明らかにした。
ブラジル産植物Cnidoscolus phyllacanthusから新規イソプレノイド誘導体3種faveloxide, favelolおよびisofavelolを単離し,化学構造を決定した。それらの化合物は抗腫瘍活性を持つfaveline同族体であり,詳細な作用機序の検討が望まれる。担子菌Russula subnigricansから細胞毒性活性物質としてrussuphelolを単離し,化学構造を明らかにした。Russuphelolは不斉炭素を持たないが光学活性を示すことから,生合成酵素の単離,あるいはその利用にも興味が持たれる。ブラジル産植物Himatanthus sucuubaからconfluentic acidおよび2^1-O-methylperlatolic acidを単離した。Confluentic acidのモノアミンオキシダーゼ-B活性は強力かつ選択的であるうえに,合成類縁体はさらに活性上昇が認められることから,医薬品リ-ド化合物としての可能性が期待される。担子菌Tricholoma muscariumからibotenic acidを単離した。担子菌シロオニタケAmanita vergineoidesから新規アミノ酸(S)-cis-2-amino-5-chloro-4-pentenoic acidを単離し,化学構造を明らかにした。担子菌カレバキツネタケLaccaria vinaceoavellaneaから,cAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す新規アルカロイド,laccarinを単離し,化学構造を明らかにした。
以上,本研究の結果,数種類の生理活性物質を単離し化学構造を明らかにした。今後は活性発現メカニズムの解明を通して医薬品開発への寄与を検討していきたい。
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