研究概要 |
ピペラミド類{Ar (CH_2)_nCO-X : Ar=芳香環,X=アミン}については,芳香環部(Ar)としてphenyl,p-methoxyphenyl,m,p-dimethoxyphenyl,3,4methylenedioxyphenyl,p-hydroxyphenyl,m,p-dihydroxyphenylのいずれか,またアミン部(X)としては,pyrrolidine (C),またはN-methylpiperazine (M)を持ち,メチレン鎖の長さ(n)が6から14の同族体を合計76種合成し,各々の殺線虫活性を測定した.その結果,殺線虫活性は側鎖の長さとアミン部の種類にって大きく異なり,水酸基を持たない化合物では,log Pで代表される化合物の疎水性と親水性のバランスが一定の範囲内で最大活性を示すことがわかった.これに対し,フェノール性水酸基を持つ化合物は,前記化合物群よりlog Pが小さいところで最大活性を示しており,単なるアミド化合物とは異なる作用機序あるいは作用部位を持っていることが推察された. 一方マラバリコン類{Ar (CH_2)_nCOAr^1}については,種々の天然型マラバリコン(Ar^1=o,o^1-dihydroxyphenyl)およびAr=phenylのものについてAr^1をphenyl,o-,m-hydroxy-phenyl,o,m-dihydroxyphenyl,o,p-dihydroxyphenyl,o,m-dimethoxyphenyl,o,p-dimethoxyphenylに変えたものを合成し,その活性を調べた.その結果,Ar^1のo,o^1-位またはp-位に水酸基を持つものが強い活性を示し,中でもAr^1p-hydroxyphenylのものが,犬蛔虫に対する最小致死濃度(MLC)が8μMと,天然から得られているマラバリコンC(MLC=5μM)やマラバリコンA(MLC=8μM)に匹敵する殺線虫活性を示した.
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