研究概要 |
今日では食物と考えられるものの中には、漢方処方中に配剤される生薬や、かつて薬物として位置づけされていたものが数多く認められる。このような薬効が伝承されている薬用植物の中で、抗アレルギー作用や抗糖尿病効果が期待されるショウガ、クワイ、タラノメ、トチノキ、サトウダイコン、ギムネマについて活性成分を探索した。 ショウガ根茎は、生姜(新鮮根茎)や乾姜(乾燥根茎)として漢方方剤中に配剤される生薬であり、また、クワイ塊茎は慈胡と称される漢薬として知られている。ショウガやクワイの伝承薬効の考察から抗アレルギー作用を有すると考えられたことから、ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用やラット48時間受身皮膚アナフィラキシ-(PCA)反応抑制作用などのin vitro抗アレルギー試験を用いて検討した。その結果、ショウガの主成分6-shogaolや6-gingerolに顕著な抗アレルギー活性を見い出すとともに、クワイから抗アレルギー活性を示す新規ジテルペンtrifolione A,B,C,Dなどを明らかにした。 タラノキ頂芽(タラノメ)、トチノキ種子、サトウダイコン、ギムネマ葉にラットの小腸からの糖吸収抑制作用のあることを見い出し、その活性成分を探索した。その結果、新規サポニン成分として、タラノメからelatosides G,H,I,J,K、トチノキ種子からescins Ia,Ib,IIa,IIb,IIIa,IIIb,IV,V、サトウダイコンからBetavulgarosides I,II,III,IV,V,VI,VII,VIII,IX,X、ギムネマ葉からgymnemosides a,bを単離し、それらの化学構造を明らかにした。さらに、これらのサポニン及びプロサポゲノールなど各種誘導体について糖吸収抑制活性を検討した結果、サポニン構造と活性に関する興味深い知見を得た。
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