研究課題/領域番号 |
06672152
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 淳 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80080175)
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研究分担者 |
巾 正美 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (70254307)
湯浅 博昭 (湯浅 博和) 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (20191471)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
700千円 (直接経費: 700千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ラット肝実質細胞 / ラットクッパー細胞 / 分画ヘパリン / 分子量依存性 / 受容体介在性エンドサイトーシス / スカベンジャー受容体 / 高分子-高分子相互作用 / 競合的取り込み阻害 / 肝取り込み / 肝実質細胞 / クッパー細胞 / 初代培養 / スキャベンジャーリセプター / エンドサイトーシス / ラット |
研究概要 |
分画ヘパリンの肝からの放出を速度論的並びに機構論的に解析するため、取り込みに関する検討をより単純な系から開始し、次いで血漿タンパクを含むよりin vivoに近い実験系において検討した。 1)低分子量分画ヘパリン(LMWFH:7000Da)のラット初代培養肝実質細胞への取り込み挙動を、高分子量分画ヘパリン(HMWFH:20000Da)のそれと比較した。それぞれの取り込みには濃度依存性がみられたが、低分子ヘパリンのKmは高分子量分画ヘパリンのそれより5倍以上大きい116nMという値を示していた。Vmaxには大きな変化がなかったことから、分子量の低下による取り込みの減少には、肝実質細胞への親和性の低下が大きな原因となっているものと考えられた。 2)高分子量分画ヘパリン(HMWFH:16000Da)のラット遊離Kupffer細胞への取り込みにも濃度依存性が認められ、Kmは3.4nMであり、最大取り込み量は1.3pmol/10^6であり、特殊な取り込み機構の関与を示唆していた。数種の取り込み阻害剤に対する挙動から、その取り込み機構はポリペプチドに対する受容体介在性エンドサイトーシスとは異なるものであることが推定された。 3)低分子量分画ヘパリン(LMWFH:7000Da)のα-グロブリン又はアルブミン共存下での非結合割合は、それぞれ0.5、0.8であり、高分子量分画ヘパリン(HMWFH:16000Da)の0.04、0.1と比べて、、約10倍以上大きい値であった。低分子量ヘパリンではそれらの血漿タンパクと結合したものは、初代培養肝実質細胞への取り込まれなくなると見られるのに対し、高分子量ヘパリンでは、タンパク結合したものも取り込みに関与するという結果が得られた。 4)高分子量分画ヘパリン(HMWFH:23000Da)とラットKupffer細胞との結合の解離定数は5.7nMであり最大結合量は1.5pmol/10^6cellであり、Kupffer細胞の表面に結合した量に比例して1次の速度過程で細胞内へ内在化されるとするモデルでの解析が可能であった。ヘパリンのKupffer細胞への結合も内在化も、ATP非依存的であり、温度依存的である点を除けば、ポリペプチドの受容体介在性エンドサイトーシスと共通する点は認められなかった。むしろ、Kupffer細胞へのヘパリンの取り込みには、スカベンジャー受容体が関与している可能性が強く示唆された。
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