研究概要 |
本研究から以下の点が明らかとなった 1。Fas遺伝子のプロモーター活性調節の検討. 我々は、HIV感染によりFas遺伝子の誘導が引き起こされることを見いだしており、Fas遺伝子誘導を引き起こすHIV遺伝子の同定を行なうことを目的として、まず第一にFasプロモーターの解析を行った。その結果Fas遺伝子プロモーター領域には真核生物遺伝子プロモーターに広く見い出されるTATAボックスは存在せず遺伝子発現調節因子NF-IL6結合配列がすくなくとも5ヵ所存在することが明らかとなった。NF-IL6は炎症等にともない発現制御がおこなわれる転写制御因子であり、Fas遺伝子の制御機構かいめいできわめて興味深いものである。本結果については現在投稿中である(Wada N et al.Transcription stimulation of the Fas-Encoded Gene by NF-IL6 upon influenza virus infection). 2。Fas蛋白の生体内分布の解明。 生体内におけるFas蛋白の分布を明かにすることにより、生体内で行なわれているapoptosisの関与する生理現象を解明する。その目的のために免疫組織染色に使用可能な抗Fas抗体を作成し(Kouji T et al.Acta Histochem Cytochem 1994)、ヒト胸腺細胞(Kouji T et al.Acta Histochem Cytochem 1994)、肝臓細胞(Okazaki,M et al.Int'l Commun.Hepatitis 1995 印刷中)等でのFas抗原の発現を検索した。 3。Fas蛋白に生体内で作用するnatural legandの検索 現在まで生体内でFas蛋白に作用する物質は明かにされていないので、その物質の検索を行ったが、本年度までに見い出すことはできなかった。引き続き検索を続けていく計画である。
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