研究課題/領域番号 |
06672211
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中田 博 京都産業大学, 工学部・生物工学科, 教授 (90113141)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ムチン / シアリルルイスA抗原 / E-セレクチン / 癌関連糖鎖抗原 / 単クローン抗体 / シリアルLe^a抗原 |
研究概要 |
シアリルルイスA抗原は、癌細胞の血行転移に関与するとされているE-セレクチンのリガンドの一つとされているが、解明されねばならない問題点が残されている。1)ある種の癌患者の血中には多くのシアリルルイスA抗原が存在し、E-セレクチンと相互作用する可能性が高い。2)リガンドとして機能しうる構造はシアリルルイスA抗原のクラスター構造であることが示唆されているが実体は明確でない。これらの問題点を解決するために、先ずヒト癌患者腹水よりシアリルルイスA抗原を持つムチン型糖タンパク質を単離することを試みた。基本的にはシアリルルイスA抗原を認識する単クローン抗体MSW113を用いた抗体カラムにより、約8千倍に精製した。得られた糖タンパク質は、糖を約80%持ち、アミノ酸としてはSer,Thr,Proで50%以上を占める典型的なムチン型糖タンパク質であった。ヒト血管内皮細胞上に発現したE-セレクチンとこの糖タンパク質との相互作用を検討した。この多価のリガンドにより内皮細胞上のE-セレクチンは細胞内に取り込まれ分解された。すなわち代謝が亢進するが、一方、E-セレクチンの合成量も増加することがわかった。従って、リガンドが存在しても見かけ上、E-セレクチンの存在量に大きな変化はなかったが、結果として発現が持続することがわかった。このことは癌細胞の転移に有利な方向に働くものと考えられる。次に、内皮細胞とヒト腸癌細胞LS180の結合の阻害をこの糖タンパク質及び同糖タンパク質より調製したO-グリカンで比較した。その結果、O-グリカンでは著しく阻害活性が低下し、ペプチド鎖上でのシアリルルイスA抗原の配置すなわちクラスターが必須であることがわかった。
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