研究概要 |
1',2'-不飽和ウリジン(1)にNBS/ピバリン酸を反応させ、アンチ付加物2,3を合成した。この反応の面選択性は水酸基のシリル保護基によって制御できる:1aからは2aが主生成物となり、1bからは2bと3bが約5:3の比で生成し、1cの場合には3cが唯一の生成物であった。 化合物2aと種々の核酸塩基との反応を行ったがScheme1に示すように目的とする真性双頭ヌクレオシドの合成はシリル化したウラシル(4)を用いた場合のみ達成できた(5,収率17%)。しかしながら、5は極めて不安定で例えば2'-デオキシ体へ変換すべく行なった接触還元条件下でも、ウラシル,6,7へと分解した。 本研究の過程で、アノマー位における新しいC-C結合形成反応としてScheme2に示すroute A(求核置換反応)およびB(ラジカル1,2-アシルオキシ転移反応)の方法を見い出した。 当初デザインされた真性双頭ヌクレオシドは、そのオルトエステル構造故に不安定であることが明かになったので、現在route AおよびBの両方法により、第二の核酸塩基が“tether"を介してアノマー位に結合した双頭ヌクレオシド8の合成を検討中である。
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