研究概要 |
Neuromedin Uのアンタゴニスト開発を目標に,イヌneuromedin U-8 (pGlu^1-Phe^2-Leu^3-Phe^4-Arg^5-Pro^6-Arg^7-Asn^8-NH_2)をリ-ド化合物として,各アミノ酸残基を系統的に変換した70種以上の誘導体を合成し,そのヒヨコそ嚢平滑筋収縮活性の検討から,次の構造-活性相関の新知見が得られた. 1 23 種の1位アミノ酸残基置換誘導体はすべて高活性アゴニストであり,N-末端はレセプターとの親和性増加に寄与し,且つその必要とされる構造に多様性がある. 2 疎水性N-端部構造を構成する2-4位アミノ酸置換誘導体26種の検討から,特にPhe^2の活性発現への重要性が判明した.Phe^4の活性発現への寄与は2位より低く,Leu^3の置換で活性は低下しない.2位置換誘導体にアンタゴニスト活性は認められなかった. 3 5-8位の活性部位構成アミノ酸残基中,7位Arg残基は,Lys,Ornを含めた如何なる変換も完全な失活をもたらし,活性発現に絶対的な重要性を持つことが判明した.また8位 Asn-NH_2のα-アミド基も活性発現に必須である.これらの部位に注目しデザインした低活性ペプチドはレセプター親和性も同時に喪失し,アンタゴニストは得られなかった.5位Argおよび6位Pro置換アナローグの収縮活性は低下したが,内活性が保持された. 4 Neuromedin U-8と同じC-末端Asn-NH_2構造を持つvasoactive intestinal polypeptide (VIP)が10-100nMの低濃度でNeuromedin U-8の収縮活性を強力に阻害した. 以上のNeuromedin U-8各部位の役割が明らかにされた成果を基に,今後,ペプチドライボラリー調製法によるアプローチで本研究を発展させ,またVIPによる阻害活性の機構を解明する計画である.
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