研究概要 |
研究代表者により改良された迅速PCR-SSCP法により、(1)本年度、新規に見出されたものを含む変異酵素未同定のG6PD異常症例、(2)過去に酵素学的に変異酵素が同定されている症例、(3)ソロモン諸島におけるG6PD異常症スクリーニングにより見出された症例、の各々について、変異G6PD遺伝子の解析を行った。(1)に関しては、検索を行った18例より、これまでに知られていない7種の新しい遺伝子変異を含む、計13種の変異G6PDを同定した。(2)については、G6PD Asahikawa,G6PD Musashino,G6PD Kamiube,G6PD Fukushima,G6PD Iwate,G6PD Morioka,G6PD Tsukui,G6PD Mejirodaiの各変異酵素について解析を行い、G6PD Asahikawa,G6PD Musashino,G6PD Kamiube,G6PD Tsukuiの各変異酵素で新規の変異を見出した。これらの変異の大部分は単一塩基置換であったが、G6PD Tsukuiおよび今回、新規に同定されたG6PD Urayasuでは、本症としてはきわめてまれな3塩基の欠失による単一アミノ酸欠失によることが明らかになった。患者または母親が外国出身の症例では、韓国人に見出された初の新規な変異G6PDであるG6PD Seoulを除き、すべて出身地に頻度の高いpolymorphicな変異酵素が同定された。(3)に関しては、メラネシア人453例を対象としたスクリーニングにより見出された27例のG6PD異常症例の遺伝子解析により、G6PD UnionおよびG6PD Honiaraの2種の変異酵素を同定した。G6PD Unionは世界各地に分布する頻度の高い変異酵素であるが、G6PD Honiaraは新規な変異酵素であった。興味深いことにG6PD HoniaraはG6PD Unionの塩基置換に、別の塩基置換が加わって生じたものであることが明らかになり、G6PD Unionがきわめて古い起源を有する変異酵素であることが示唆された。
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