研究概要 |
ヒト1番染色体のみをヒト由来の染色体として持つヒトーマウスの雑種細胞(A9-Neo1)を材料として、ヒト1番染色体特異的なYACライブラリーの作製を試みた。計10回の形質転換を行なうことで約45,000のYACクローンを得ることができた。得られたYACのサイズは、パルスフィールド電気泳動によって確認したところ平均235kbであった。そのほとんどはマウスDNA由来のYACと考えられたため、ヒトおよびマウス特異的なDNAを用いてコロニーハイブリダイゼーションを行ない、ヒト陽性、マウス陰性のクローンを選択したところ、ヒトDNA由来のYACは17クローン、ヒトDNAとマウスDNAの両方に由来するキメラYACは5クローンであり、予想されるよりヒトDNA由来のYACを得られる効率が悪いことが判明した。ヒト1番染色体を約250Mbと仮定すると、3倍カバーするYACライブラリーの完成には、平均235kbのYACが約3,200クローン必要なため、現在の効率では必要数のクローンを得るのは困難である。ヒト染色体特異YACライブラリーの作製には、ヒト由来のYACがより高率に単離できるような雑種細胞を用いることや形質転換の効率を改善することが必要と考えられる。 なお、筑波大学基礎医学系田中講師との共同研究により、寄生虫の一種であるSchistosoma mansoniのYACライブラリーが完成し、このライブラリーを用いたゲノム解析が進行中である(Mol.Biochem.Parasitol.69:41-51,1995)。
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