研究概要 |
1.巨核球性細胞株CMKをC3exoenzyme(C3)で処理すると濃度依存性にrhoタンパク質のADPリボシル化が認められ、同時に巨核球のploidyの増加して働くとの今回の成績は巨核球分化の新しい制御機構を明らかにした。 2.CMKのIL-3受容体(R)遺伝子発現と制御の機構を幹細胞株(KMT2)と比較した。KMT2はIL-3Rα-subunit遺伝子を強く発現していたが,CMKはIL-3Rα-subunitよりβ-subunit遺伝子を強く発現していた。tumor ne-crosis factorαはKMT2のIL-3Rβ-subunit遺伝子発現を増強したが、CMKのそれに対する増強は殆ど見られなかった。これらの成績は巨核球に分化した造血前駆細胞にはほかの分化段階と異なるIL-3R遺伝子発現の制御機構があることが示唆された。 3.sarcomaを初発とした巨核球性白血病患者からIL-3,IL-6,leukemia inhibitory factorそしてphorbol esterに対して分化傾向のない巨核球性白血病細胞株を樹立した。 4.鉄欠乏性貧血患者の巨核球ploidyは16Nにピークを持つ正常パターンを示し、又血中IL-3,IL-6値に増加に見られず、鉄欠乏性貧血患者の血小板増多は既知のサイトカインとは別なサイトカインによって制御されている可能性が示唆された。 5.ラットに瀉血を行うと全例に血小板増加が認められた。しかし増加した血小板平均容積、血小板平均幅はcontrol群と変わらず瀉血によって増加する血小板は幼弱な血小板とは考えられなかった。又IL-3添加によるCFU-Meg形成能は増加しておらず、初期の段階のmegakaryopoiesisは亢進していないと考えられた。しかし瀉血後の巨核球数とsizeは有意義に増加しており、瀉血の際に見られる血小板増加は成熟した巨核球数を刺激する因子によって制御されていることが示唆された。
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