研究概要 |
1.肺炎球菌の菌型分布、薬剤感受性の全国調査 1994年から1996年の間、国内の病院で分離された肺炎球菌を収集し、これらの菌型分布と薬剤感受性の現状を調査し、年次的推移を検討した。その結果,次の結論が得られた。 (1)肺炎球菌の薬剤感受性ではテトラサイクリン系(TC,MINO),マクロライド系(EM,CAM),CLDMには耐性株が多く(50%以上)認められたが,VCMには耐性株は認められず,また,キノロン系薬に高度耐性を示した株も少なかった。β-ラクタム系薬ではカルバペネム系薬(IPM,PAPM)の抗菌力が優れていた。経口セフェム系薬ではCDTR,CFPNが優れていた。 (2)ペニシリン耐性肺炎球菌の分離率は約30-50%であり,耐性菌は全国的に広がっていることが確認された。肺炎球菌の菌型分布は3型,6型,19型,23型が多く,ペニシリン耐性肺炎球菌もこれらの優位菌型に多くみられた。 肺炎球菌のセフェム系薬耐性株のディスク法による判定法 CTX耐性株の判定はCTXディスクを用いて判定すると,耐性株がみのがされる危険がある。順天堂大学附属病院臨床検査部での分離株を用いた検討では,CTX耐性株はCCLディスクを用いることにより、正しく判定できることが明らかにされた。 3.肺炎球菌のPCR法による薬剤耐性遺伝子の検出 肺炎球菌のPBP2B遺伝子とPBP2X遺伝子の変化はβ-ラクタム系薬の耐性の度合いとよく相関していることが明らかにされた。
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