研究概要 |
今回の調査研究を通して明らかになったことは次の通りである。 第1に,休業期間について。親と同居している休業者は休業期間が短くなる傾向が見られる。これは,親からの育児支援が得られるためだと考えられる。また,休業者の希望する休業期間は実際に休業した期間よりも長い。実際には,経済的理由,職場の条件,そして保育所の入所時期の理由で希望よりも短くなっている。 第2に,休業中の家計について。年収の低い世帯や休業中に何の金銭給付もなかった世帯で家計が苦しくなっている。育児休業給付金制度に対する評価は,男女を問わず高い。とりわけ休業者による評価は高い。また,給付金の金額については,男女を問わず,また,休業者と非休業者とを問わず,少ないと考えている。 第3に,休業中の夫の強力について。休業中に協力的であった夫は,最近の家事育児参加時間も長い。休業中に妻が家にいることにより,夫の家事育児参加は減少し,実態としても意識の上でも性別役割分業が進む。なお,妻の育児休業の満足度は,休業中に夫が協力的な場合には高くなる。 第4に,保育所について。休業者による保育所の期待が大きい。とくに延長保育,長時間保育,一時保育,そして病児保育に対する要望が大きい。 第5に,育児休業制度に対する要望について。育児と就労の重点の置きかたには個人差があるので、制度の運用を柔軟にしてほしいという要望,育児休業給付金の金額を増額してほしいという要望、地域の子育て支援センターを充実してほしいという要望,各職場の実状に合わせて育児休業しやすいように育児休業法を運用してほしいという要望,育児休業明けにならし期間を設定してほしいという要望などがある。
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