研究概要 |
本研究では、まず16種の大麦分級粉を準備した。得られた物質を食品として利用することを念頭に置いているので、その成分が消化され吸収された後にも活性を有していなければならないことから、水溶性低分子物質を想定した。生理活性として、チューブリン濃度1.0mg/ml,添加物濃度2.0mg/mlで10mM phosphate buffer,pH7.0,containing0.1mM GTP,10mM MgC12 and 3.4M glycerol中でチューブリンのGTPase活性の賦活活性を測定した。チューブリンは牛脳から調製した。分級粉は、1994年西日本産甘木2条大麦より得た。 平成6年度には、No.5(91-89%)およびNo.9(75-70%)分級粉に、チューブリンのGTPase活性を賦活する成分が存在することを見いだした。 平成7年度には、賦活活性成分の精製を進めた。分級粉2gに精製水60mlを加え、室温で30分抽出後、遠心(10,000rpm,2℃,20min)し、その上清の凍結乾燥によって抽出物を得た。抽出物のSephacryl S-200HRゲル濾過クロマトグラフィーで4つのピークが得られ、その3番目のピーク(B′)に活性が認められた。次のDEAE-Sephadex A-50イオン交換クロマトグラフィーでは、ピリジン-酢酸緩衝液でpH6.5からpH3.1へのpH変化によるステップワイズ法で溶出した結果、pH5での溶出画分に賦活活性が認められた。更にBio-Gel P-4でのゲル濾過クロマトグラフィーを進め、その2番目のピークに活性を認めた。得られた画分は糖を含むペプチドであった。
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