研究概要 |
本研究は子供や高齢者、いわゆる交通弱者を交通事故から護る目的で目立つ色の安全服について視覚系のメカニズムの観点から検討した。暗所視、薄明視、明所視を含む、いろいろの照度レベルにおいて常に良く目立つためにはどの色で、面積をどのくらいにしたならよく目立つか、また、対称を幼児だけでなく、動作の遅い高齢者にも活用する。ただ、その場合はデザイン上赤の面積はできるだけ小さいことが望まれる。本研究は、小さくてかつ目立つ面積を決定し、高齢者の安全服のデザインにも有効なデーターを得ることを目的としたものである。 実験方法はこれまでの目立ち実験に用いてきたところの、全色相をカバーする12色の色票を用い、各色相とも5cm角、3cm角、2cm角、1cm角の4つのサイズを設定して、色と面積の目立ちの関係を調べた。 その結果、1,いずれの色相も面積が大きいものが目立ち、面積が小さくなるにつれて目立たなくなる。2,同じ面積では、黄色、緑、青系の色よりも赤(R)とパ-プル(P)系の色がよく目立つ。しかし、赤に黄色(Y)が入ってくると目立たなくなる。3,色票のサイズが異なっても、それぞれの同一サイズ間において各色の目立つ順番はほとんど変化しない。4,赤の8R4/14はそれぞれのサイズで最も良く目立つ。サイズが入り乱れると(12色×4サイズ)赤は5cm角が1番、3cm角が3番、2cm角が6番、1cm角が11番となり、サイズが小さくても、大きい他の色相より目立つことが分かった。5,目立ち得点でみると赤(8R4/14)の1cm角と緑(2G5/8)の5cm角はほぼ同じ程度に目立つことが示されている。1cm角の赤はその25倍の面積の緑と同じくらい目立つことを考えて、赤を上手にデザインする事が、安全服のポイントとなる。
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