研究分担者 |
正保 正惠 (正保 正恵) 福山市立女子短期大学, 生活学科, 講師 (00249583)
西川 龍也 福山市立女子短期大学, 生活学科, 講師 (90249582)
金田 すみれ 福山市立女子短期大学, 生活学科, 助教授 (30087928)
山本 百合子 福山市立女子短期大学, 生活学科, 助教授 (10087926)
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研究概要 |
文献研究,教師に対する質問紙調査,子ども達の手の働きの実態調査により,教育の中での「手の働き」の位置づけを明らかにし,家庭科教育での実習・実技の役割について提言を試みた。 1.歴史的にも,産業の機械化により,生産の場だけでなく家庭からも手仕事が追放され,「手の働き」が失われることによる「人間性の危機」は生活全般に及ぼうとしていた。学校教育史の中では,「手の働き」の教育は小学校の手工科に端を発した図画工作教育にみられ,家庭科では「手の働き」が中心的課題とはなっていなかった。 2.質問紙調査での,学校種別にみた子どもの手の働きの認識は,当初の予測とは異なり,幼稚園と高等学校で高く,小学校,中学校で低い傾向が見られた。この要因は,小学校の調査対象者を家庭科担当者に限定しなかったこと,中学校教育の現場では他教科を専門とする教師も技術・家庭科を担当していることなどが考えられる。 3.子どもの手の発達を『作業のうまさ』と『両手の協働性』の2側面から捉えた「水入れ」と「豆運び」の観察調査,及び手伝いや遊びなどの日常生活に関する質問紙調査を行った。作業の「上手」なものほど,正しく箸が動き,豆運びの数が増える傾向が見られた。作業がうまく,非利き手がよく動いていたものほど,生活経験が豊富な傾向が見られた。 4.教師の意識調査とも併せて考えると,手を使ったり全身を使うような日常の活動は,子ども達の心身の発達に何らかの形で寄与していることがうかがえた。したがって、子ども達の発達を保障するためにも,家庭や学校教育のなかに目的意識的に手を使うことを取り入れる必要がある。なかでも家庭科教育の中での実習・実技は,暮らしていく技術の習得だけでなく,子どもの手の発達の視点からも重要な役割を担ってくる。
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