社会人の体力の問題が大きくクローズアップされてくるのに伴って、社会人向けの体力テストも多種多様に開発され実施されている。こうした、体力テストが今後益々社会人の体力向上のための重要なキ-となって行く社会趨勢の中で、60歳代70歳代あるいはそれ以上の年齢の人たちを対象とした体力テスト・バッテリ-が数少ないこと、また、あっても体力テストどうしの横の関連がうすく、統計的分析も不足していることから、本研究はこの点に止目して、上述の年齢層の人たちを対象とする体力テスト・バッテリ-を開発し、性・年齢を考慮した得点化について多変量解析を通して分析することを目的としている。このため、まず、東京都内の企業体及び区市教委から現に実施されている体力テスト(構成種目・実施対象年齢範囲・実施要項・評価表)を12種収集し比較・検討を行った。次に、これらの体力テストを参考にしながら、一方では質問紙法調査を用いて、この対象年齢の人たちの描く体力像(体力ファクター)及び若者のみたこの対象年齢の人たちに期待する体力像を調査し、これらも参考にしながら体力ファクターを筋力・柔軟性・バランス能力・心肺能力の4ファクターに絞り、対象者自身の行った種目選定を考慮して、握力・長座位体前屈・閉眼片足立ち・肺活量の4種目を選定した。この体力テストを軽運動実施グループ及び一般グループに実施し統計的分析を行って、体力テストの性・年齢別の各種目5段階評価及び総合評価表を作成することができた。
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