研究概要 |
本研究では中学校理科の化学分野において,子どもたちの感性を磨くことができ,子どもたちが学習する意義を理解でき,分かりやすく,さらには高度な問題解決能力をも獲得させられ得る学習内容・学習方法を開発することを目的とし,平成7年度は以下のことについて種々の成果を得た。 (1) 本研究者らが作成した国内・米国・英国の理科教科書データベースを使用し,各教科書で実際に扱われている化学概念の種類やレベルなどを調べ,それらと日常生活と化学の本質とのかかわらせ方,教材配列の順序性,学習形式,学習方法などについて比較を行った。それぞれの国および教科書間で大きな違いがあることが分かった。 (2) 本研究者らが収集した本研究に関連する教材を扱った授業案・実践報告等をもとに,授業の実態や実施状況を探った。指導内容については文部省・理科指導書理科編に準拠するものがほとんどであった。 (3) 生徒や教師が化学の持つ豊かさやよさを感じたり,さらには感動したりした場面等の調査を生徒や教師を対象に行った。中学校理科教師および小学校教師に対する調査結果では,化学の本質に由来する内容や場面,子ども自身および子どもを取り巻く環境にかかわること挙げている教師が多いことが分かった。生徒については回答が自由記述であることと調査人数が多いことから,本研究の期間内に成果をまとめるまでには至らなかった。本研究期間終了後,まとめをする予定である。 (4) 研究協力者との研究会での討論を重ねた後,中学校段階における理科の化学分野の一部について,教材モジュール案を作成した。本研究の期間内に中学校段階のすべての学習内容全体を網羅することはできなかったが,次年度以降引き続き作成していく予定にしている。
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