研究概要 |
本研究は数学教育と教育工学の課題を背景に,個々の学習者が各自のコンピュータからネットワークを介して様々な教材資源や数学実験ソフトウェアを活用し,主体的にかつ他の学習者と協調的に問題解決にあたることが可能な学習環境の構築を課題として取り組んだ.具体的には,以下の成果が得られた. 1.数学学習のための電子ノートと電子教科書の開発 数学学習におけるノートの役割を明確にし,コンピュータを用いた学習環境でのノート機能を設計し,また遠隔地にある数学のレーザーディスク教材にアクセスする手法の研究を行った.とくにマルチメディアネットワークやウィンドウ環境の特徴であるハイパーメディア構造を学習者のノートに実現することを提案している. 2.数学学習環境におけるシステムの基礎研究 主にマルチメディアネットワークとハイパーメディア技術を中心に研究を行った.具体的には,数式などの否文書情報に対するリンク手法,WWW上のリンクの自動作成手法,数学教育の立場からリンクのアンカーとなるキーワードの選定基準の研究を行った. 3.学習者の認知分析手法の研究 ネットワーク上などで協調的に学習を展開していくには,学習者の知識の差異だけではなく意識・態度の差異も重要なパラメータであると考えられる.そこで,態度情報を得るための区間評定によるファジィ推論手法と意識構造の変容を測定する意味構造グラフの類似性に関する研究を行った.さらに,数学学習における学習者のメタ認知の過程についても考察し,協調学習との関連を研究した.
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