研究概要 |
小学校や中学校にパーソナルコンピュータ等の情報機器の導入が進み,情報教育の実施環境が整いつつある。しかし,小・中ともほぼ同時といってよい時期にパソコン導入が利用がはじまっているため,そこで行われている情報教育の内容や方法が,同じような内容やレベルで実施されているのが現状である。このままでは,小学校で学習したことがらを中学校でも繰り返すことになりかねない。したがって,小学校から中学校,さらに高校までを視野に入れた,継続性・一貫性のある情報教育のカリキュラムを策定するための基礎研究として,指導要領や教科書などの資料から各教科の内容に含まれている情報活用に関連する内容や学習活動など学習項目の調査分析し,とくに小中学校の理科と中学校数学について,その学習内容と情報活用に関連する項目を検討分析して,関連表を作成した。 中学校数学では,いくつかの領域について関連表を作るとともに,これまで開発してきた学習用ソフトを整理し,学習内容や活用場面との対応を明確にした。さらにそれらにもとづいて,10の実践研究授業を実施した。 小学校理科では,物理領域,化学領域,生物領域,地学領域および4領域に係わる学習内容で,「情報の収集・選択」「情報の分析・整理・理解」「情報の判断・創造」「情報の伝達」の4つの情報活用のどの部分が扱えるかを関連表としてまとめた。中学校理科においても,第一分野と第二分野で同様の関連表を作成した。また,小学校理科においても,情報活用能力のうち,とくに情報の創造と伝達に主眼をおいてネットワークによって情報交流をする実践研究授業を実施した。 また,既存教科の枠をはなれ,小学校低学年における情報活用にかかわる活動の可能性を検討するために,10時間の授業カリキュラムを設計して実践授業も実施した。 今回の研究では,小学校から中学校までの全学年を見通す情報活用カリキュラム案の作成までにはいたらなかったが,理科と数学について,学習内容と情報活用の関連を明らかにすることができた。
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