研究概要 |
本研究は,学習者の思考特性を考慮し,理解を深化させる教材の開発方法を検討し、学習活動における学習者の意図に適応するリンク機構を検討して,そのオーサリング方法を提案することと,教師の意図とハイハ-メディアの持つ教育的機能を生かした柔軟な授業設計法を提案することを目的に行われ、次のような成果を得た。 1 ハイパーエディア教材におけるリンクの教育的機能を、カテゴリー,順序,意味,格関係,連接関係,の5種類にまとめ,これらの関係をカード属性とし,このデータにより動的にカードがリンクされる機構を開発した。この動的リンク機構をオーサリングツール化し,教師と学習者の双方の意図に柔軟に対応する教材のオーサリングを可能にした。 2 今後素材として多用される静止画像やビデオ等の動画像を対象にして、動画像の各カットや静止画の表す動作内容を格関係表現に基づいて記述しインデクスとするデータベース構築方法を開発した。このインデクス法は課題領域に対して汎用性が高い方法で映像に自動的にリンクをはることができ,したがって,既存の画像データから簡単に教材を開発することが可能である。 3 ハイパーメディア教材の課題であった,探索活動における学習者の思考過程への配慮,デザイナ-としての教師の意図の組込み,教材内容の変更の容易さ,さらに授業の柔軟な設計と展開が,本オーサリングツールを用いることにより可能になった。小学生歴史学習(平安時代),産業学習(伝統工業)と高等学校美術(ヘ-パ-ウェイトの制作)の教材を開発して授業実践し,授業設計と展開の具体的手順と技術を明らかにした。これらにより,ハイパーメディアの持つ教育的機能を授業に生かす一方法を確立した。
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