研究概要 |
制御系の設計演習は、1)設計する制御系の知識を学習し、2)与えられた仕様を理解し、3)線図を描いて特性を読み取り、4)注目する制御値の補償が可能な補償要素選択し、5)補償要素のパラメータの修正等の作業を、すべての仕様を満足するまで繰り返す高度な認知・問題解決過程である。このような理解のもとに線図描写の手間軽減や設計にいきずまった場合の適切な助言を与えることが可能な演習環境を開発した。しかしスタンドアロン型の学習環境であるために学生個々の設計演習の進捗状況がおおまかにしかつかめず、遅進者の重点的な指導、速進者の到達度の質的向上など、教師の能力を積極的に生かせる情報が不足した。そこで個別学習的な教育方法が充実するほど、授業における学習コ-デイネータとしての教師の役割は重要となるため、ネットワーク機能を付加して教師機能を強化した制御系設計演習CADに改善した。 知識の十分でない学習者が演習問題を解決するとき,その過程で問題に応じた作業用モデル,すなわちメンタルモデルを生成して利用していることをプロトコルを収集することで確認した.このモデルは学習者の日常経験や興味をもつ対象に応じて異なていた。演習が進み知識が深まると明確な方略を持った工学的な設計モデルに変わっていくことを確認した。このモデルの変容と問題解決との関わりかたについて考察できるようなシステムに改善した。その構成は、設計行動履歴を基にしてその決定の意図を収集するプロトコル収集システム(質問生成の知識、質問生成エンジン)を開発した。そしてこれらの機能を付加した設計演習支援システムを実践し評価した。
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