研究概要 |
〔リレーについて〕 リレータイプでみた学習効果は3年生で,リレーメンバーのフラットタイムからリレータイムを引いた利得タイムの学習効果は6年生で最も大きかった。この不一致は,リレータイムの伸びに対するバトンの受け渡し技術と疾走能力の向上の2つの要因の関与率が学年によって異なっていることが関係し,6年生では最高疾走速度の65%まで速度を高めてバトンを受け取れるようになり,リレータイムの伸びに対するバトンの受け渡し技術の関与率が95%以上を示した。 また,中学生児童ではリレーをゲームとして楽しんでいたのに対し,高学年児童ではリレーの技術特性に触れ,イメージを高めていることが認められた。 すなわち,「速さつなぎ」を課題とする陸上運動としてのリレー学習は,4年生以降で可能で,適時期は6年生にあると考えられた。 〔ボールゲームについて〕 ゲーム様式の違いによって生じる学習成果の学年進行に伴う変化を検討した。その結果,分離型ゲーム教材を用いて学習する場合,4年生ではゲームに飽和状態の生じることが考えられ,攻撃完了率と関わり率からみたゲーム様相の変化,作戦の理解度,ならびに態度得点からみた学習成果は,2年生で高いと考えられた。 一方,相乱型ゲーム教材を用いて学習する場合,2・3年生では課題の解決・作戦の高まりが容易でなく,4年生において,学習成果は最も高いと考えられた。 3年生では,いずれのゲーム様式において学習成果が高いかについては,一定した傾向が認められず,分離型と相乱型の学習の過渡期にあるように推察された。 すなわち,分離型ゲーム学習の適時期は,2年生に,相乱型ゲーム学習の適時期は,4年生以降にあると考えられた。 また,分離型から相乱型へと一気に移行させることには無理があると考えられ,両者の間に過渡的相乱型を位置づけることの有意味性が示唆され,3年生は,過渡的相乱型ゲームの学習の適時期と考えられた。
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