研究概要 |
本研究では,要因実験において実験の類似性により誤差間に相関が生じるモデルを仮定し,それらのモデルの下でどのような要因組み合わせて実験をおこなうのが最適か(またはロバストか)という最適性の問題を下記のいくつかの場合について推定量の共分散構造を調べることにより考えて見た.ここでは実験の類似性を測る尺度として,Hamming距離を用いた.その結果、 (a)実験の誤差間はその類似性をHamming距離で測った場合の1次,2次の移動平均型の誤差が生じる場合. (b)実験の誤差間にその類似性をHamming距離で測った場合の1次の自己回帰型の誤差が生じる場合. のいずれの場合についても,実験の水準組み合わせの最小ハミング距離が大きい実験が最適(ロバスト)であるという理論的結果を得た. また,ブロック計画において,分割実験を行う際に,resolvableBIBデザインが使われるが,実用上は巡回型のデザインを用いると便利であり,計画を立て易いという利点がある.しかし,巡回型BIBデザインでしかも巡回的に分割クラスが構成できるブロック計画の構成法はまだ知られていない.本研究では,巡回的に分割クラスが構成できる巡回型BIBデザインの2種類の構成法を得た. BIBデザインや直交配列は暗号の理論とも深い関係があることが知られており,認証暗号系においてBIBデザインを用いて構成する暗号系の最適性が理論的に示されている.本研究ではランダムに暗号系を構築した場合とBIBデザインを用いた場合との安全性の差異の評価を行った.この暗号に関する研究はシミュレーションにより,ある知見を得た段階であり,今後,さらに精力的に研究を続けて行きたい。
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