研究概要 |
1.有限集合の確率的分割を,玉を壺に入れるモデルで表わすと,玉が識別可能か否か,壺が識別可能であるか否か,により4つの場合に分類できる.これらが玉の数を増しても一貫した確率法則を満たすときには次のような特徴をもっている。(i)玉の数には依存してもその番号によらない.(ii)玉の数が,壺の番号に従ってマルコフ性をもつ.(iii)玉の数を増減したとき,少いほうが多い方の周辺分布となる.これら3性値の一部分を適当に択ぶことにより,4種の分布の単一パラメータ族を特徴づけることができる.(Japan J. Jndustn. Appl. Math.). 2.上記モデルにおいて,玉が識別できず,壺が識別できるときは,自然数の,順序ある,確率分割である.これは生態学で多様性の表現に用いられる「残余割当てモデル,residual allocation model」の離散版である.その比率の極限は,GEM分布という無限次元単体上の確率分布となる.これらの分布の諸特性を,上記の視点より調べる.(Statist. Prob. Letters) 3.玉を壺に入れるモデルで得られた4種の確率分布族は,1個の正値パラメータαをもっている.これらの分布族はすべて,共通の最小十分統計量として,玉のある壺の数,をもっている.α=1のとき,壺の数はiid確率変数列における新記録数の分布に等しい.したがって,新記録数を用いる独立性検定は,対立仮説のα>1にたいして,一様最強力検定となる.Kendallのタウによる独立性検定と検出力を比較し,また実際例で,Kendullのタウでは有意ではないが,新記録数検定では有意となる例を示す.(応用統計学)
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