研究概要 |
複数の作業者(顧客やユーザも含む)からなる仕様作成会議のプロトコル分析をもとに,段階的に仕様書や議事録を作成していく「グループウェアツール」の開発を行なった. 1.会議・仕様書のモデル化:会議の様子をビデオカメラで撮影し,参加者の発話を分析し,発話内容と最終成果物である議事録や仕様書の記載事項との対応をとることにより,両者の構造の差異を考慮しつつ,モデル化を行なった.会議は話題の時系列として,仕様書は記載事項の木構造として表現した.さらに,どの記載事項とどの記載事項が意味的なつながりがあり,影響を及ぼしあっているかという関連も導入した. 2.ツールの作成:会議参加者の発話を収集・記録し,連続した会議の合間に発話履歴の構造化を行ない,仕様書や議事録作成の支援を行なうツールを作成した.このツールは,テキストと音声データを扱うハイパーメディアツールであり,発話(音声データ)を話題に応じてグループ化する,話題の関連を表すリンクをつける,その話題が決定されたか未決かといった属性をつける機構の他に,作成される仕様書の記載事項がどの話題の発話でなされたかというリンクをつける機構を有している. 3.実験によるツールの評価:上記のツールを実際の仕様作成会議に適用し,評価を行なった.会議中に時間的に隣接して話された話題を,仕様書中でも隣接して記述することにより,わかりやすい仕様書が得られることが確認でき,時間的な隣接関係により,話題を構造化していく機構を文書作成の方法論としてツールに組み込んだ.これにより,一部の作業の機械化がなされた.
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