研究概要 |
前年度に引き続き、軽量オブジェクトを支援するオペレーティングシステム(OS)の設計を行い、プロトタイプの実装を行った。当初の研究目的、実施計画に従い、今年度は特に分散処理機能の拡張を重点的に行った。 1.分散処理を行う上で基本となる、遠隔オブジェクトの位置透過な呼出し機構について,オブジェクトの局所的な代理(プロクシ,proxy)によるメソッド呼出しのメッセージへの変換、実行結果のキャッシング、アクセス権限のチェックの機構などについて検討し、実装を行った。また、オブジェクトの大域的なネ-ミングを実現するネ-ムサーバを開発し、プロクシとの連携について検討した。 2,オブジェクトの複製について、メソッド呼出しをきっかけに行う一貫性制御の機構を設計・実装した。一貫性の制御の方針は、ユーザが、オブジェクト呼出しのインタフェース記述として与えることにより、従来よりも変更・拡張が容易で、効率的な一貫性制御を実現することができた。 3.オブジェクトの複製や移送の方針をユーザレベルで制御するため機構として、資源の使用状況に関する情報をノード間で交換する機構とその利用インタフェースを開発した。実際に、簡単な方針を実現し、その有用性を確認した。 4.単一仮想アドレス空間における遠隔オブジェクトのマップ機構に検討した。現在は、オブジェクト呼出し時に、オブジェクトの格納単位であるコンテナを一括してアドレス空間にロードする方式を採用している。実現が簡単で、ハードウェア及びOSレベルでの分散共有メモリの機構が不要な点で優れているが、今後、応用によって問題がないか検討していく予定である。 5.上記の実装は、フリーソフトウェアであるNetBSDを改造して行った。
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