研究概要 |
本研究の目的は,ラムダ計算の枠組の中で研究され理論的に洗練された,プログラミング言語の型理論を基本的な枠組として用いて,将来のソフトウエアシステムを信頼性を持ってしかも効率良く構築可能にするプログラミング言語の設計理論を構築することである.より具体的には,多相型プログラミング言語のコンパイル理論を構築し,さらにそれをデータベースおよび並列分散プログラミングシステムをも扱えるよう拡張することを目標とした. 2年目である平成7年度は,主たる目標であった多相型プログラミング言語のコンパイルの理論をほぼ完成させることができた.その主要な成果であるレコードを含んだ多相型言語のコンパイル理論は,“A Polymoprhic Record Calculus and its Compilation"by A. Ohoriと題する論文として,ACM Transactions on Programming Languages and Systemsの1995年11月号に発表された.さらに,多相型言語のより効率的な実行を可能にする操作的意味論を完成し,“An Unboxed Semantics for ML Polymorphism"by A. Ohori and T. Takamizawaと題する論文にまとめ現在国際論文誌に投稿中である. これら基礎理論,特に多相型プログラミング言語のコンパイル理論は,それをもとに多相型言語の実用コンパイラを開発を開始するに十分な完成度に達していると考えられ,本研究の所期の目的を達成したと考える.今後,以上構築した基礎理論を基にした,多相型言語の実用コンパイラ開発プロジェクトをスターとさせる計画である.
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