本年度は、リアルタイム分散データベースのソフトウェアアーキテクチャを確定し、トランザクション処理部、並行処理制御部、オブジェクト管理部、回復処理部の各々について詳細な検討を行った。また、これらの機能の一部をMachオペレーティングシステム上に実装し評価を行った。 トランザクション管理部に関しては、入れ子トランザクション機能の実現法を検討し、プロトタイプシステムの実装を修了している。また、弱い一貫性の概念やトランザクションの優先度を導入し、高速応答性を実現するための機能検討も行った。 並行処理制御部に関しては、適応型時刻印方式を考察した。本方式は、多重版時刻印方式、予約型時刻印方式、排他ロック式時刻印方式から構成され、これらをデータベーストランザクションの性質に応じて使い分けることによって、システムの応答性能を向上させるものである。これらに関しては、シミュレーションによる評価を行い、その有効性を検証した。 オブジェクト管理部に関しては、UNIXのファイルをオブジェクトとする場合の方式検討と実装を修了している。現在は、分散共有メモリ上にデータベースオブジェクトを配置し、アクセスする方式を検討している。 回復処理部に関しては、ログとして取得する情報、サイトの障害発生後のシステムの再起動の方法及び手順の検討を行っている。あわせて、2相および3相コメットメントプロトコルそれぞれについての障害回復の方法についても検討を行っている。
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