研究概要 |
人工物の概念形成においては,現実に生ずる種々の要求に応ずるために,単一のタイプによった物・事象の処理の視点ではなく,多様なタイプの視点が必要とされている.本研究では,視点を表現するための方法論について考察し,(1)人手によって属性を数え上げることで構築される知識を主体とした記号視点構成法を示した.この方法と構文解析ツールによって,自然言語で表現した文章からWWW上の知識ベースを構築し,異なった視点で記述された知識の広範囲な利用可能性を示した.更に,非記号的な状態で視点を表す方法として,(2)1/0のシーケンスに遺伝的アルゴリズムとの解釈文法を適用して,述語やプログラムを獲得するbit視点構成法,(3)NNによって多くの事例から暗黙的にネットワークの重みと連結状態を構築し,自己収束的な問題解決を図る状態視点構成法の基本手法を明らかにした.前者は状態を解釈する文法や規則を与えることができるが,後者はネットワークの状態から明示的な意味を解釈することは困難である.この結果,各々の視点は,マクロ的処理,ミクロ的処理,直観的処理に適していることも明らかになった.単一視点型システムにおけるシステムの完全性確保には,周到な準備と膨大なデバッグ作業が必要となるため,用意された,あるいは獲得された具体的な視点間において,メッセージ交換や交渉などを介し,協調的な視点管理による概念形成が有効である.この協調的な視点管理手法をエージェントに基づいて考察し,対象に関する部分的に不確定性を有する知識・データベースに関して,エージェント間の交渉によって不確定性を除去して,知識・データベースに基づいた正当な協調動作を実現するエージェントシステムを構築し,2次元機構図面の理解と動作シミュレーションでシステムの機能を例証した.
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