研究概要 |
1.主観的情報加工によるデフォルメ地図の生成 現在地点から目標地点までの経路を知りたいユーザに,両地点に焦点を当てたデフォルメ地図を呈示することは,とりわけ有用な地図理解支援方法と想定される.本研究では,オリジナル画像あるいは道路ネットワークデータからユーザの主観的選好を反映させつつ,地図画像を対話的に加工することによって,デフォルメ地図画像(略地図)を作成する方法を考察した.ここでは,任意の2地点間の経路を示す略地図を生成することをテーマとし,ユーザの要求条件に柔軟に追随できる経路探索,及びユーザがパラメータにより指定したデフォルメ度合に対応した略地図生成が可能であることが提案手法の特徴である. 2.メディア統合・変換に基づく地図理解支援 言語メディアと図形メディアにおける情報伝達特性の相補性に着目して,略地図に対応する案内文を,経路の移動に伴い同期的に生成する手法を与えた.提案手法は図形メディアから言語メディアへの変換の一手法と位置付けられる.一方,その逆変換として,ユーザから入力される地理説明文を言語解析し,キーワード列を抽出した後,道路ネットワークと整合する部分を図形情報に変換することにより,経路パターンとして地図画像に重畳描画する手法の基礎検討も行った. 3.プロトタイプシステムの構築 本研究での成果を有機的に結合させたユーザ支援型地図画像情報システムのプロトタイプを構成し,情報検索,道路ネットワーク生成,経路プラニング,略図生成,案内文生成などのモジュールを整備した.システム化を通して,画像データと記号データの一元的な処理技法が極めて重要であるという知見を得た.今後は,システム化技法に関する問題点を整理すると共に,本システムを特徴付ける主観的情報処理原理の体系化を図って行く.
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